RubyWorld Conference 2014
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RubyWorld Conference 2014 開催趣意書

今回で6回目となるRubyWorld Conference、その第1回が開催された2009年頃には、企業がRubyを採用するというだけで業界のニュースになるほど珍しいことでした。しかし、今ではRubyは「当たり前」で、どんな企業が採用したとしてもそれだけでニュースになることはなくなりました。Rubyはジェフリー・A・ムーア氏の提唱したキャズム理論の段階を順当に進んできているように思います。

2010年のRubyWorld Conferenceの開催趣意書で、このキャズム理論について触れた時、Rubyはちょうどキャズムを超えつつあり、比較的新技術に関心のある層である「アーリーマジョリティ」に気付いてもらいはじめた段階だったと感じています。それから4年、Rubyは「レートマジョリティ」、つまり「普通の人々」にも到達しつつあります。

しかし、「新技術」というだけで関心を持っていただける層ではない「レートマジョリティ」に浸透するためには、これまでとは異なり、技術だけを追求するのではなく、心理的、経済的、政治的な障害なども考慮する必要があります。これからしばらくの間、Ruby普及における重要なテーマは、これらの障害を乗り越えた「浸透(penetration)」になるだろうと考えています。本年のRubyWorld Conferenceを通じて、新しい普及の段階に突入しつつあるRubyが、多様な現実世界にどのように適合し、浸透していくのか、そのような普及過程と成長を考える機会となることを期待しています。

本年のRubyWorld Conferenceが、これまでと同様にRubyの新しい可能性を知り、皆さん自身が未来を構築するための一助となることを心から願っております。

RubyWorld Conference 開催実行委員会
委員長 まつもと ゆきひろ

過去の開催趣意書